これまでの長年にわたるクライアント企業さまとの製品・商品の開発体験をとおして、多くを学ぶことが出来ました。そのなかで、敢えてデザイン事務所からの提案として、如何にデザイナーというプロフェショナルを活用していくことが良いかを述べてみたいと思います。

基本、‘‘ モノづくり ‘‘ とは、生活者にどう使ってもらうことが快適で、ユーザーの期待に応えることになるのか、その機能は? そうしたことを十分検討することから始まります。

ですが多くのご依頼主さまの意向として、意匠面(外観デザイン)のみ、手を加えて仕上げもらおうと計画されているケースがとても多いのが事実です。しかし本当により良いモノ創りで売れる商品をお考えでしたら是非ともデザイナーに託して欲しいことがあります。

それは製品企画の初期段階からの参加を考えてほしいのです。企画への提案や商品性/仕様についても生活者を代表した立場で“モノを扱うときの心理”や“具体的な製品アイデア”、“課題解決策”などを生み出すことを、専門に行う職能であるからです。そしてさらに、未来を見据えた創造などの提案も得意なのです。

通常の開発プロセスではデザインイメージが決定した後、デザイン図面が仕上がり、そして設計者による設計図がつくられます。このプロセスでのデザイン・オーディット(監修)が必須と考えて欲しいのです。なぜならば、デザイン図を基に設計者が設計詳細図の作成時、その作業が完成するまで多くの修正、調整作業が課せられます。また外観デザインにも多く影響が並行して出ます。ではこの開発プロセスにデザイナーが参加できない場合、誰が多くの発生するデザインバランス調整等を行うのでしょうか。

デザイナー不在の場合、このように開発の責任者(経営者、開発企画者、営業等の方々や)、設計者の気付かないところで、大変重要な製品デザイン監修として大事な見落としが起きるわけです同時にデザインの質が大きく低下を招きます。

先述した製品開発の最初のプロセス、企画・計画段階からのデザイナーの貢献、そして、最終段階での詳細設計プロセス、この段階でのデザイナーの配慮・貢献を含めて初めて、デザインの高品質が確保されるわけです。

これまでの事例でよく起きていることですが、最終的なデザインはデザインスケッチと大差ないとの判断で済まされそのまま製品化されてしまうことが多くあります。出来上がった製品を見て、多くのクライアントの方々は“少し変わってしまったけどまあいいいでしょう”というのがプロジェクトの依頼主の感想なのですが. . . .実は生活者、買って下さる方からすると その差が良く見えるのです。良いモノ創りを目指すには お客様の満足度を大切にしたいところです。そして必ず理解してくださるかと。

この繰り返しがブランドイメージを高めていくと考えております。

デザイン開発の依頼として、外観などの意匠を主体にした依頼が多いのは確かです。そうした現実の中にあって、
 ‘‘ デザインの良し悪しを決定するのは その製品の開発プロセスに起因する。‘‘
そう理解されるクライアントの方々も多くいらっしゃいます。

プロダクト・デザイン事務所の本音としては、「その開発をとおして、 ‘生き死に‘ を共にするという覚悟、これを顧客企業様と共有できればな。」と希望しております。